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林歯科診療所

京都の歯医者林歯科診療所 院長日記
流行っている床矯正装置について再考する

最近、取り外し式の床矯正が非常に流行っています。

この背景には、歯科医院を多く手掛ける経営コンサルタントや歯科医院経営をアドバイスする研修会などが、医院経営のために強力に床矯正を勧めている背景があるからではないかと、思っております。

 

この流行っている床矯正装置、私もよく用いでおりますがもう一度考え直してみたいと思っております。

 

利点

・専門の技術・知識が無い経験の浅い歯科医師であっても、とりあえずある程度は使うことができる。

・取り外せるためブラッシングがしっかり出来るため、虫歯のリスクが少ない。

・装着や調整などに多くの用具を必要としないため、歯科医院の導入コストが少なくて済む。

・矯正装置撤去時の歯の損傷が無い。

 

欠点

・取り外せるため、正しく装着出来ていなかったり装着時間が短かったりすると、思うような結果が得られない。

・どうしても厚みがあるため舌の邪魔になってしまい、舌の悪習癖が改善しにくい。

・三次元的な作用がほとんど出来ないため、多くの場合他の装置との併用になる。

・装置を製作する技工レベルに効果が左右されやすく、歯科技工士のスキルが求められる。

 

このように床矯正の特徴をよく理解して使えば、矯正治療における有効なツールの一つになり得ます。

時折患者さんが最初から床矯正を指定されることがございますが、あくまで私は主治医として最も効率のよい治療法を選択していく中で、床矯正装置を使ったり使わなかったり致しますので、何が何でも床矯正が素晴らしい、と決めつけないで頂きたいとお思います。

| seiji0024 | 矯正治療 | 07:42 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
もっと加入者に説明していただきたい健康保険組合の歯科検診事業

加入されている健康保険組合によっては京都府歯科医師会に委託して、京都府歯科医師会会員の診療所で無料で歯科検診を受けられる制度があります。

 

この検診は元々多人数を想定しているため、かなり簡略化された様式の検診になっております。

よっておおよそ歯科疾患のリスクが高いかどうかのスクリーニング(簡易なふるい分け)は出来ますが、診断や治療計画の立案に必要な資料には成り得ません。

そのため治療が必要な際には、別個にもっと精度の高い検査が必要です。

しかもこの検診制度で歯石取りなどの施術・処置は一切行えません。

 

しかしこの保険組合の歯科検診制度で、無料で歯石取り、もっとエスカレートしているケースではヤニ取りまでしてくれるものだと勘違いして申し込まれることが大半です。

 

よって歯石取りを行うには、健康保険できちんとした歯周病検査を行ったうえで、はじめて処置が可能となります。

しかも無料検診と健康保険の診察日は同日に行ってはならないため、通常の保険診療だと1日で済む内容でも、2日かかります。

 

そこで当院でもこの制度をご利用される方に関しては、毎回その旨を説明するのですが、結局後付けの説明になってしまうので不満を漏らされてしまうこともしばしあります。

 

元来なら、無料検診の実施主体の健康保険組合がもっとわかりやすく加入者に説明してくれればこういったことにならないのでしょうが、なかなか浸透されていないのが現状です。

 

根本的にはこういった検診制度はもっと再検討する必要がありますが、その前にまずは現状の制度について加入者にきちんと説明されることが先決だと思います。

| seiji0024 | ひとりごと | 09:54 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
9月17日(土)診察時間変更のお知らせ

京都府歯科医師会で行われる認知症対応力向上研修会での講師を務めるため、9月17日(土)の診察時間を下記の通り変更いたします。

8:30~13:00

既に予約で満席の状態かつ講師の都合上予定時刻には出発しなくてはならないため、本日どうしても緊急で受診をご希望の方は8時30分前後に必ず電話にてあらかじめご相談ください。

ご迷惑をおかけいたしますが、ご理解・ご協力をお願いいたします。

| seiji0024 | 診察時間変更 | 06:21 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
教職員向けの研修を行いました

私は現在、地元の京都市立梅小路小学校の学校歯科医の任に就いております。

歯科医師会(学校歯科医会)や教育委員会の流れでは、年2回行われる学校歯科検診と学校保健委員会、それに年1回行われる就学時検診、年2回の歯みがき教室、合わせて7回学校に行くことになっております。

 

しかし学校歯科医に就任して以来、これだけで児童の歯の健康を守るのには不十分だとずっと思っておりました。

そんな中、学校側と協議を行い教職員向けの歯科に関する研修会を行うことになり、先日その研修会に講師として行って参りました。

 

あれもこれも入れこんでしまうと吸収しきれませんし頂いた時間も限られておりましたので、今回は「歯科と児童虐待」、それから「フッ化物洗口」に絞って行いました。

 

まず歯の状態から児童虐待、それもネグレクトについてある程度スクリーニングできる可能性がある、と言うことに教職員の方から大きな反響がありました。

ただしこういった内容を講義すると、虫歯が多いだけで虐待だと疑われるなどの誤った偏見も生じる恐れがあるため、そのような事の無いようになるめく偏りなくニュートラルな立場で慎重に話しを進めました。

 

フッ化物洗口について、もうこれの有益性を否定する人は居ないと思いますが、肝心要の教職員の方々に対してはきちんと理解されているとは言えない状態がずっと続いております。そこで主にフッ化物利用の安全性について、一般常識と比較しながら説明しました。

 

どうしても教職員は人事異動で毎年入れ替わりがあるため、学校全体での理解を深めていくためにはこういった職員研修を今回だけで終わらさず、継続して行っていくことが必要だと思います。

| seiji0024 | 小児歯科 | 08:10 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
電解機能水で注意しておきたいこと

当院では開業以来、ずっと感染予防のために電解機能水を様々なところで活用しております。

そもそも機能水とは、「人為的な処理によって再現性のある有用な機能を付与された水溶液の中で、処理と機能に関して科学的根拠が明らかにされたもの、及び明らかにされようとしているもの」と日本機能水学会が定めております。

例えば飲用でよく聞かれるアルカリイオン水や水素水と呼ばれているものはそうですし、殺菌性を期待するなら塩素化合物を電解した中性・微酸性・弱酸性・強酸性電解水や、オゾンガスをマイクロからナノレベルの細かな泡にして水に溶け込ましたオゾン水等があります。

 

医療現場や食品加工現場では殺菌性がとても大事になってきますので、中性・微酸性・弱酸性・強酸性電解水やオゾン水が多く使われております。

オゾン水も使われておりますが、やはり塩素化合物を電解した中性・微酸性・弱酸性・強酸性電解水が最も多く使われており、当院でも中性電解水を使用しております。

しかしこの電解水、厄介なのは電解されるものが塩素化合物だけでは無いという事です。

よく材料に食塩を用いますが、この食塩の多くは海水から作られています。海水には塩化ナトリウム以外にも様々な微量物質が含まれております。その中に臭素と呼ばれる物質が入っています。通常この臭素は人体に入ったからといって特別害を及ぼすものではありません。しかしこの臭素が荷電されてしまうと、臭素酸という物質に変化してしまいます。臭素酸は臭素と違って強力な発がん性物質であります。

よって臭素が含有している食塩を使って電解機能水を作ると、その中には発がん性物質が含まれていることになり、医療現場や食品加工現場で使う物としては不適切だと思います。

ですから電解機能水を作る際に使用する食塩は、臭素が入っていないものを用いなければなりませんし、当院ではかねてよりそうしております。

元来は電解機能水を製造・販売しているメーカーがもっとはっきりとわかりやすく添付文書で注意・説明するべきだと思うのですが、メーカーで販売している食塩水溶液を買うように推奨するだけでとても十分されているとは思えません。

 

通販などでも気軽に電解機能水を作る機械が購入でき、一般家庭でもお使いの方もいらっしゃると思いますが、食塩を原材料にする機種の場合、材料になる食塩の選択には十分注意していただきたいと思います。

| seiji0024 | 感染予防 | 07:39 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
歯に対する意識がもっと現れやすい欠損歯の治療法選択

歯を抜けたまま放置されているケースをよく見かけます。

一部、放置しておいて問題ないこともありますが、ほとんどの場合は放置しておけば歯列全体が乱れてきたり咬み合わせが変わったり、時には顎まで歪んでしまうこともあるため、抜けたまま放置しないできちんと治療して歯を補わないといけない説明を毎回行っております。

 

ほとんど歯が無くなってしまうとさほど多くの選択肢が残されていないので治療法の選択もシンプルですが、これが1本程度の欠損となると多くの選択肢があるため治療法の選択も複雑になります。

しかしこの治療法の選択の際、必ずといっていいほどその患者さんの歯に対する意識が現れます。

 

もし仮に1本歯が無くなっており、その両隣の歯は無傷であったとしたら、

患者さんの意識の低い順に、決定される治療法の選択を挙げます。

 

1.抜けたまま放置

  これだけ抜けたままについての弊害を説明しても最初から聞く耳を持たない方です。

 

2.健康保険のブリッジ

  両隣の歯を大量に削って被せて連結するブリッジは、短期的には使い心地も良く違和感もありません。

  しかし無傷の歯を大量に削るわけですからそこがいずれまた虫歯になってしまいます。

  しかもそれを覆っている物がクオリティーの低い保険材料ですから、数年で支えている歯がダメになる可能性が高くなります。

  そうなればさらに歯を失う原因を作ってしまっていることになることもあります。

  今さえよければ後はどうなっても良い、という治療法です。

  その証拠に歯科医師自身やその身内にこれが入っているのを私はほとんど見たことがありません。

  もちろん私はこれを身内に入れたことは一度もありません。

 

3.入れ歯・インプラント・保険外のブリッジなど

  これらを選択された方は歯を抜けたままも、歯を大きく傷つける事も良くないと感じとても歯を大切にされている方です。

  入れ歯で慣れられれば私はそれで十分だと思っておりますが、そうでない方もいらっしゃいます。

  しかしインプラントや保険外のブリッジなどは治療費がかかってしまうので、今すぐ出来ないという方も少なくありません。

  そういう方はしばらく入れ歯で辛抱していただいてそのうち他の治療に移行することもよくあります。

 

今回のこの治療法の選択については建前論では無く、本当に歯科医師としてのぶっちゃけ論です。

歯の欠損を補う治療法を歯医者さんから提案され、悩まれている方は是非参考にしていただければと思います。

 

 

| seiji0024 | 入れ歯 | 13:04 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
急速拡大するだけで本当に呼吸は改善するの?

昨今、矯正治療で急速拡大を行うと鼻中隔彎曲が無くなり鼻腔は広くなって呼吸が良くなる、ということでこの急速拡大による矯正治療が非常に増えてきております。

 

私もハイラックスタイプの急速拡大、それからハースタイプの半急速拡大は頻繁に用いてるので、その効果については自分自身、そこそこ詳しいと思っております。

 

結論から言ってしまうと急速拡大によって上顎骨の縫合を開いて鼻腔を広くしただけで呼吸は良くならないと思います。

 

あくまで呼吸や嚥下といった生命の根幹を司る生理運動は、それを支える姿勢があって成り立つものです。

その姿勢で大きな要素を占めるのが頭位で、この頭位を維持するための顎顔面骨格や咬み合わせを育成していく経過の多くで、この歯列の拡大が必要とされるからだと考えます。

 

だから急速拡大=呼吸:嚥下の改善では無く、健全な呼吸や嚥下を行うための育成治療の中で、急速拡大という一つのツールが入ってくることもある、と解釈していただいた方が正確だと思います。

 

ところが最近、ただ急速拡大で広げさえすれば呼吸が改善し、副鼻腔炎・アトピー等が改善すると触れこんでいる歯医者さんが居るということもよく耳にします。

これはいくら何でも言いすぎではないでしょうか?私は正しく呼吸できる顎顔面を育成する治療を行っておりますが、それでも副鼻腔炎やアトピーが治りますとは絶対に断言しません。ただ結果として良くなる方が大半ですけど、程度にはふれますが・・・。

 

こういった過大な表現が多く出回ってしまうと、矯正治療そのものの信用を失いかねません。ですから患者さんには誤解を招かないよう確実に言いきれない事はなるべく発言を慎重にしていただきたいものです。

 

 

| seiji0024 | 矯正治療 | 10:43 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
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