我々歯科医師が主にターゲットにしてきた疾患はどんなものでしょうか?
200年ほど前は歯科医師の仕事と言えば歯を抜くのがメインでした。
その後、アメリカでG. V. Black という歯科医師が虫歯の治療を始めて規格化し、それが急速に世界中に広まり、そこから長年歯科医師の主たる業務は虫歯の治療でした。
その後、世界的に口腔衛生状態が改善し、フッ素の普及が大きく進み虫歯の数は大きく減ってきました。
その結果、歯がたくさん残るようになりましたがそれに伴い今度は歯周病が問題になってきて、虫歯から歯周病へ業務の比率が徐々にシフトしていきました。
しかしその後、予防歯科が広まり皆さま、ご自身で手入れされるセルフケアと歯科医院で行うプロフェッショナルケアの役割分担が出来るようになってきて、重い歯周病もまた減ってきました。
これだけ虫歯も歯周病も減ってくると我々歯科医師は予防以外、やることが無くなってしまったかと言えばそうではありません。
小児においては歯並び・顎、しいては顔面の成長の不全、
成人においては咬み合わせの不調、顎関節症、知覚過敏、歯の磨耗や破折、
こういったものは私がたまたま得意にしている領域なのでそう思うだけかも知れませんが、昔と比較して爆発的に増えていることは確かだと思います。
しかしこういった疾病構造の変化に柔軟に対応する姿勢、医師はご存知のように柔軟に対応してます。
今や国民にとって大きな問題であるメタボ、この言葉だって20年前には無かったわけですし、あまり治療の対象にもしてこなかったわけですが、今や医科にとっては非常にウェートの高い疾患になっています。
我々歯科医師はそういった医師の柔軟性を見習わないといけないとつくづく感じさせられます。