成人の虫歯で最もよくできる個所は歯と歯の間です。しかしこの個所の虫歯、象牙質に達する大きなものなら削って詰めていましたが、エナメル質の範疇にとどまっている程度の虫歯の場合、今まで私は削らず経過観察で済ましておりました。
この経過観察に済ましているにはいくつか理由がございます。
1つ目はエナメル質にとどまっている限りは早いスピードで進行しにくい。
2つ目は削って詰めようとしても、虫歯の大きさよりはるかに多くの歯を削らないと治療ができない。
3つ目は最小限に小さく削って詰めても、接着面積が確保できずすぐ取れてしまう。
こんな理由でいづれ象牙質に達するようになってから治療を行っておりましたが、悪い言い方をするとそれまで放置していることにもなります。
しかし最近、ドイツで初期虫歯に対して積極的に治療を行うシステムが登場しました。
それはICONという材料でして、強酸で一度溶けかけている歯を柔らかくして、そこに浸透性の高い樹脂を流し込んで歯をカチカチにさせるものです。
このICONを活用して初期虫歯に対して積極的に介入するシステムについて、千葉県でご開業の杉山精一先生の研修で早速学んでまいりました。
当院の高濃度フッ素を用いた虫歯予防と組み合わせると非常に強力な虫歯予防・早期治療が一貫してできるシステムであると確信しました。
その一方、この方法。非常に手間がかかり、材料もとても高額で元々保険適応されません。
自費でいただくにもそれなりにいただかないととても採算が合わない方法で、この素晴らしい技術の価値を患者さんにわかっていただけるかどうかが、導入するかどうか大きな分かれ目となってとても悩まし状況です。