毎日歯科医師として臨床していく中で、簡単な医療行為もあれば難しいものもあります。たとえば複雑な形態をした歯の神経の治療や歯ぐきが著しく痩せてしまった総入れ歯、こういったものは我々歯科医師の中でも非常に難しい治療であることが通っています。
しかし毎日行っている業務にも関わらず、難しさが歯科医師の間に通っていないものがあります。
それは虫歯検診です。
この虫歯の検出、通常は肉眼で行い必要に応じてレントゲンで調べますが、肉眼・レントゲンともに虫歯が見つからなかったからということが、虫歯が無いとは言い切れないことが多々あります。結果論から言えば虫歯の見落としということになってしまうのですが、虫歯検診の難しさがわかればわかるほど一概に責められないところです。
アメリカではICDAS(International Caries Detection and Assessment System)という新しい虫歯検診基準を採用する流れになっていますが、この方法は非常に時間がかかってしまうこと以外に、成人で最も多い歯と歯の間の虫歯に関してはいまいち当てにならない欠点があります。
光で早期の虫歯も検出する新しい方法もあるのですが、検査機器が非常に高額なのと、まだ登場してから間もないためノウハウが蓄積されていない状況で、この検査機器の導入には躊躇せざる得ない状況です。
今現在、歯科臨床の技術的な面で一番私が悩んでいることがこの虫歯検診です。
根管治療、入れ歯、インプラントなどと違って研修できる機会も非常に少ないので、今後少ないチャンスを逃さないよう情報のアンテナを張り続けていきたいところです。