安易な拡大では済まない子供の矯正治療
2017.05.16 Tuesday
当院では以前から多くの小児の矯正治療を行っております。 元々私は自分から積極的に小児の矯正をご家族に積極的に勧めているわけではありません。 しかし明らかにここできちんと説明しておかないと、大きな問題を将来残してしまうと断言できるケースのみ、私から保護者の方に説明しております。 そんな対応でずっと小児の矯正治療を行ってきておりますので、当院では簡単なケースがほとんどなく、かなり難しいケースばかりになってしまいました。 そのため受け入れる私も必死で、さらに自分自身の実力を上げていかないといけないので常に研修は怠れない状況です。 そんな中、先日新潟県でご開業の関崎和夫先生の研修会に参加してまいりました。
関崎先生は長年、子供の矯正に携わられておられ、数多くの実績を残されております。 その中で時代の変遷によって小児の口腔の状況にも変化があり、現在では永久歯のサイズが大きくなってしまって萌出スペース不足になることが非常に増えたことを説明されました。 そんなご時世の中、最近では安易な拡大による矯正治療を行う歯科医師が増えてきて、それが結果としてただ歯を無理やり並べているだけで咀嚼器官としての機能や歯列・咬合の安定を全く考えていないようなケースも増えてきたことも危惧されておりました。関崎先生は少しでもシビアな条件での矯正治療を行う際、その歯科医師は少なくともスタンダードエッジワイズや抜歯矯正と呼ばれるオーソドックスな治療法はきちんと習得してから行うべきである、と我々に対して忠告されました。
しかし私が最も関崎先生の講義を受けて印象に残ったのが、写真記録の美しさと正確さです。たかが口腔内写真と思いがちですが、これは後々の貴重な診療記録になり、そのクオリティーが低いと後から非常に後悔させられます。 しかし関崎先生の口腔内写真は完全に規格化されており、いつの時代に撮影したものであっても全て同一条件という、口腔内写真としては最高の診療記録をすべてに行われており、これを何十年も続けられていることにはただただ感服させられました。
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