開院以来、当院には大勢の
顎関節症を主訴とされる方が来院されます。
その方たちから多く聞かれるのが、顎関節症は一体どこで診てもらえばいいのかわからない、とのことです。
患者目線から考えればごもっともなご意見だと私も思います。
元来、私はこの病気は歯科医師が中心で臨床を提供しなければならないものだと確信しております。
何故なら、咬み合わせが悪くて顎関節症を引き起こして来院される方が圧倒的に多いからです。
この咬み合わせをマネージメント出来るのは、唯一歯科医師だけです。
しかし実際には歯科業界全体を見渡すと多くの歯科医師がこの疾患に対してあまり熱心に勉強をしておりません。
そのため、せっかく患者さんが来院されても「そのままにしておけば勝手に治ります。」と言ったり、効果の期待できないマウスピースを入れるなどに留まり結果として患者さんから失望されてしまう傾向にあります。
その隙間を打って最近では歯科以上に過当競争になっているカイロプラクティックや整体院などが顎関節症に対応しますよ、とPRされるケースが非常に多くなりました。
何も私はこういった方々が顎関節臨床を行うことを反対しているわけではありません。歯科医師があまり熱心に取り組んでいない現状では、どこにかかっていいのかわからない難民患者さんは全国に数多くいらっしゃるはずで、その方たちの応急対応としてはご活躍いただけるものと思うからです。
ただし元々の原因となっている咬み合わせを診断・治療できるのは歯科医師以外だれにもできません。
だから原因からしっかり治療したり、リスクをマネージメントしていくのは歯科医師の責務だと思います。
予約が取りにくいからとか費用が安いからなどといった些細な理由で元来なら顎関節治療を行える歯科医師がきちんと診なければならないような方もカイロプラクティックや整体院に流れていってしまっている現状には複雑な思いでいっぱいです。