復活したエンジンリーマー
2017.06.12 Monday
当院は近隣の歯科医院と比較して小児の割合が非常に多い特徴があります。 フッ素を使いこなした虫歯予防や早期の矯正治療を行っていることが大きな原因だと思われますが、それだけ小児の虫歯治療を行う回数も増えてきます。
日々、小児の虫歯治療を行っていく中で、乳歯の根管治療(神経の治療)の治療成績が芳しくなく、永久歯の交換までに神経の治療をやり直すことが多く、自分の中で技術的な問題での大きな悩みごとの一つでした。 そんな折、小児歯科を長年されている歯科医師の先生から乳歯の根管治療の話を伺う機会があり、そこでエンジンリーマーという器具を使うのがいい、と教えていただきました。
我々歯科医師にとってこのエンジンリーマーというものは決して良い印象を持っておりません。 この器具はとにかく根管(歯根の内部)で折れやすいし、根管の構造も破壊しやすいのもで、絶対に使ってはならないものという強い印象があります。
しかしよく考えてみると、乳歯の根管は大きな空間があるために内部で折れる可能性はかなり少ないですし、根管の構造も元々根元が歯を支えている骨に向かって完全に開いているので構造が壊れるもなにもありません。
そこでこのところこのエンジンリーマーを乳歯の根管治療にのみ限って用いるようになりました。 すると自分でも驚くくらい乳歯の根管治療の治療成績が上がりました。 ただ単純にエンジンリーマーを使ったからだけではなく、乳歯の特性・エンジンリーマーの特性を理解したうえで使いこなしている結果だと思います。
改めて過去に捨て去られた方法であっても、それを理解して使えばまんざらでもないことを体験した次第です。
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